2003年夏 上田〜立山黒部アルペンルート

2日目は今回の旅のメインの「立山黒部アルペンルート」です。
  
  「扇沢」からは車では入れないので、
「黒部ダム」までトロリーバスに乗って行きます。
トロリーバス
これは架線からの電気で動く電車の一種で、
日本にはここだけしか残っていない珍しいものです。
電車のようにレールがないので、架線をつけたバスを運転するのはとても難しそうでした。
ずっとトンネルの中なのですが、このトンネルもすごく狭くて、目の前に壁が迫っています。
残念ながら、景色は楽しめませんが、
これだけのトンネルを掘った苦労を思うだけでも、
時間はあっという間に過ぎてしまうでしょう。


  バスを降りると「黒部ダム」に出ます。
このダムを上から眺めるのには展望台に上らないといけないのですが、
この階段がきついんです。
まだ始まったばかりだというのに、もう帰りたくなりました(笑)。
それでも苦労しただけのことはあり、日本一のダムの規模を存分に堪能できます。
黒部ダム
ダムの上に立っている人の大きさと比べてみると良く分かります。
観光用に放水をしているので、その水量もものすごいですよ。
  で、せっかく上ったのにまた下りて、今度はダムの上を渡って向こう側まで歩きます。
ここでは黒部峡谷の山々の美しさや、黒部湖の雄大さを味わえるでしょう。
黒部ダム


そして次は「黒部平」までケーブルカーに乗ります。
最大斜度31度という急な斜面を登っていくので、ケーブルカー自体もとっても急角度。
これだけでも面白いです。
残念ながらやっぱりトンネル内部なので、景色は真っ暗ですけどね(苦笑)。
ケーブルカー


  次は立山ロープウェイで「大観峰」へ向かいます。
ここまでもずいぶんと乗り物を乗り継いでいますが、まだあるんです(笑)。
このロープウェイは日本で唯一の支柱がないもので、
黒部の大自然を遮られることなく満喫できます。
支柱がないといっても、全然揺れたりしませんでした(ちょっと不安だったのです)。
私が行った時にはちょっと曇りがちだったので、景色が今ひとつでしたが、
晴れていればさぞや良い眺めだったことでしょう。
ロープウェイ

ロープウェイ
大観峰からはるか下に見える黒部ダム


  大観峰から今度は「室堂」まで、またもトロリーバス。
やはり電気で走る無公害バスです。
これでようやく目的地の「室堂」に到着。
こちらは標高2400mの高原台地。
乗り継ぎは大変でしたが、それでもここまでずっと乗り物で来られるんだから、便利ですよね。
360度パノラマで立山連峰が一望できます。
室堂
室堂バスターミナル付近からの眺め
室堂
 室堂でお弁当を食べて、景色を堪能して帰る方がほとんどのようでしたが、
私たちはここからトレッキングをすることにしました。
  ここはきちんと石畳で舗装されているし、
アップダウンがほとんどないので、初心者向けなんですよね。
ガイドブックでも難易度は☆一つだしね。
室堂地図
室堂〜みくりが池〜地獄谷〜室堂というコースを散策しました。(黄色のコース)
この地図は散策コースの各分岐点にあるのでまず迷うことはないと思います。


みくりが池
みくりが池
室堂
みくりが池付近からの景色。遊歩道にも残雪がありました。


ちょうど花の季節なので、
チングルマやニッコウキスゲなどの可愛らしい高原植物がたくさん咲いていました。
高原植物


雷鳥
散策コースの途中、雷鳥の親子を発見。


舗装された道をのんびりと周囲の花を眺めたり、
遠くでチョコチョコと歩く雷鳥の親子を眺めたりしながら、斜面を下りていくと、
(一部残雪があり危険な所もありましたが)
温泉が湧き出ている地獄谷に辿り着きます。
それまでは夏だというのに、ちょっと肌寒いくらいだったのが、
汗ばむほどになったのは、歩いたからというだけではないでしょう。
地獄という名に相応しい荒涼たる風景に、
硫黄の匂いも強烈で、ここには長居はしたくないと思いました。
地獄谷
荒涼とした地獄谷


それに歩くにつれて、どんどん人影がなくなっていくのも寂しくてね。
  二人でとぼとぼと歩いているうちに、道はどんどん狭くなり、
舗装されていた石畳もただの砂利道になって行きます。
ここで行き倒れ(?)になったら、遭難してしまうのではないか、と本気で思いました。
ハイキングコースなのに(笑)。
休日ならもうちょっと人もたくさんいるんでしょうけれどね。
それでも地獄谷を抜けると景色も良くなり、
舗装されていない道の方が逆に歩きやすかったりして、
楽しくなってきた私たちの前に最大の難関が立ちはだかりました(大げさ)。
  コースの途中の斜面に雪が残っていて、その上を歩かないといけないのです。
斜面にはちょっとした溝がついているだけで、
頼りになるのはそこをすでに歩いた人の足跡のみ。
そこから外れないように、一歩一歩踏みしめていきます。
少しでも足を滑らせたら、 そのまま谷底に落ちてしまいそう。
雪の斜面  地獄谷
コースをさえぎる雪の斜面(写真左)

  そこを必死の思いで越えても、あとどのくらいでゴールなのか、全然先が見えません。
なんせ、向こうから歩いてくる人も全くいないから、聞くにも聞けないし。
とにかく途中の見晴らしの良い場所でお弁当を食べて、しばしの休憩。
すぐそばでウグイスが鳴いていて、とてものどかなひとときでした。
こういうところで食べると何の変哲もないおにぎりでも、すごく美味しいんですよね。
でも2個とも梅干ってのは哀しい…。(お弁当は宿で用意してもらいました。)
  ご飯を食べたらやる気が出たので、またてくてくと歩いていくと、
遠くにバスが走っているのが見えます。
やったー!着いたぞ。もうすぐ辿り着く、
となると現金なもので、すっかり元気を取り戻しました。
実はそのバスはずっと遠くの道を走っていたんですけどね。
それでも本当にゴールは間近でした。


車がなかったら、このまま乗り物に乗って富山方面に抜けるコースもあるのですが、
私たちは同じルートを通ってまた元の場所・大町に戻ります。
当然ながら、乗り物も同じ、景色も同じ。
さすがに最初のような感動はなく(苦笑)。
疲れていたこともあり、ただひたすら急ぎました。
いつもならこのまま家に帰る一泊旅行なのですが、
今回はものすごく疲れることが予想できたので、家まで運転は無理だろう、
と二泊になったのです。
つまり3日目は休養日というか、ただ家に帰るための日だったりして(笑)。
松本市街から少し離れた浅間温泉に泊まりました。



3日目はどうも天気が良くなくて、朝から雨が降りそうでした。
天気予報でも雨です。雨になるとやはり旅行の醍醐味は半減してしまうので、
どこに行くのも気が進まず、とりあえず雨でも大丈夫な「浮世絵博物館」に行きました。
浮世絵博物館
ここはとても現代的でおしゃれな建物なのですが、驚くほど辺鄙な場所にあります。
周りは田んぼばかり、そこへ行くのもとても細い道なので、
本当にこれで合っているのかな?と思ったほど。
  とはいえ、中はきれいで、平日だったせいか、人も少なく、のんびりと浮世絵を鑑賞することが出来ました。
美術館・博物館はなるべく人が少ない方が良いですからね。
浮世絵の一点一点に館長らしき人の丁寧なコメントが付けられていて、
それを読んでいるだけでも面白かったです。
たまにコメントだけを読んで絵を見るのを忘れたりして(笑)。
まあ、難点と言えば、土地はいくらでも余っていそうなのに、内部は狭くて、
トイレに向かう途中の壁にも浮世絵の展示がしてあったりする無造作なところでしょうか。
その辺に飾られているのは主に複製なのですが、それにしたってねぇ…。
  その後、浮世絵の解説といいながら、
半分くらいは全然関係ないことを話しているスライド展示を眺めたりして、
1時間半くらいでしょうか。

外に出たら、朝はどんよりと曇っていた空が、すっかり晴れていました。
それならせっかくだから、眺めの良い道を通って帰ろう、
とビーナスラインを走ることにしたのですが。
山道に入った途端に辺り一面が真っ白になってしまいました。霧ですね。
  ほんのちょっと前を走っている車が見えないほどの真っ白白白。
途中に展望台があったのに、そこの駐車場への入り口が見えなくて、
素通りしてしまったくらい。
山を下りたらすっかり霧も晴れて、天気も良くなり、
今までのアレは何だったんだろう、という感じ。
  ちょこっと帰りがけに諏訪湖を眺めたりしながら、
疲れていることもあり、早めの帰宅になりました。
明るい間に帰れたし、雨も降らなかったし、なかなか快適でした。


家に着いたのは8時くらいかな。
やはり二泊だとのんびり出来て良いですね。
今回の「立山黒部」は天気が今ひとつだったので、次は紅葉の時期に行ってみたいです。
一度行ったら次は別の場所に行きたい、といつもは思うのに。
それだけ素晴らしかったということでしょう。


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