2005年4月 庭園美術館〜目黒雅叙園〜等々力渓谷公園
4月30日、目黒雅叙園で行われている 『時の流れ〜目黒雅叙園歴史展・77年の歩み〜』を見てきました。 通常は非公開なのですが、期間限定の公開ということで、さっそく行ってみることにしました。 雅叙園は午後開園なのでまずは目黒駅近くの『東京都庭園美術館』へ。 もちろんその名のとおり美術館があるのですが、今回は庭園のみの見学にしました。
東京都庭園美術館は朝香宮邸として 昭和8年 (1933年)に建てられた建物を、そのまま美術館として公開したものです。 戦後の一時期、外務大臣・首相公邸、国の迎賓館などとして使われてきましたが、 建設から半世紀後の昭和58年(1983年)、美術館として新しく生まれかわりました。 この建物は1920年代から1930年代にかけてヨーロッパの装飾美術を席巻したアール・デコ様式を現在に伝えるものです。 フランス人デザイナーが、主要部分を設計、内部装飾もフランスをはじめとする外国から輸入されたものが多用されています。 また基本設計と内装の一部は宮内省内匠寮の建築家が担当 し、アール・デコ様式に日本独特の感性を付け加えています。 美術館は広大な緑溢れる庭園に囲まれ、自然と建物と美術作品があわせて楽しめる環境に恵まれ、そこに庭園美術館の名も由来しています。
新緑が目に鮮やかで、広々とした芝生の中庭は開放感があって良かったです。 ベンチもあるので、ここでのんびりと本を読んだりしても良いかも。喫茶店よりも落ち着きそう。 ちょうどツツジの季節なので、ツツジが咲いていたら、もっと良かったと思うのだけど、 なぜかほとんど咲いていませんでした。 咲くのが遅いのか、成育が悪いのか・・・。
それから昼食をとって、目的の『目黒雅叙園』へ。
目黒雅叙園は昭和6年、目黒に広大な土地を購入し、「目黒雅叙園」を創設しました。廊下だけでも数百メートル延坪八千余坪、部屋数二百余室。絢爛豪華な東洋一の美術の殿堂として賑わいを見せていました。 『時の流れ〜目黒雅叙園歴史展・77年の歩み〜』へは専用エレベーターで昇るのですが、これがまた黒漆&螺鈿っぽい細工(もしかしたら本物かも…)が全面に施されていてびっくり。 どこもかしこも豪華です。 まずは旧館で実際に使用されていた美術品がならぶ展示場を サラッと通過して、百段階段へ。 (写真には写っていませんが左写真の左側に百段階段がある旧館があります。) 百段階段(右写真)とそれに接する6部屋は国の登録有形文化財に指定されています。 かつてはここで連日のように結婚式や宴会が行われていたそうで、この階段も女中さんが料理を運んだりして、せわしなく行き来していたとか。 実は百段ではなく九十九段の階段の天井には、美しい花の絵がずらーっと描かれています。 時が経っていて色あせている部分もありますが、それも味かと。 ここでは解説つきの豪華お食事つきコースもありました。 私たちは入場料のみのコースだったので、説明ナシ。 1000円の入場料をネットクーポンを使ったので800円。 そんな感じの安上がりデス。 でも途中で豪華コースの人たちにまぎれて、 こっそりと説明を聞いちゃいました(笑)。 写真撮影も禁止だろうと思っていたら、 このコースの人たちはバシバシ撮っていたので、慌てて戻って他の部屋も撮ったりして。 (受付の所には撮影禁止のマークがありましたが・・・) そんな訳で、撮影順序は前後しましたが、見たのは最初の『十畝の間』。天井に一面描かれた花の日本画は荒木十畝の作。 だから『十畝の間』なのですね。 こちらが実は一番好みでした。 季節の花々が描かれた天井画の周囲には、緻密な螺鈿細工が散りばめられています。 黒漆の地に施された虹色に輝く螺鈿のきらびやかさと、落ち着いた風情の 日本画とが見事に融合していました。 部屋の障子の細工も凝っていますが、凝りすぎず、派手すぎず。この部屋にとても良く似合っていました。
次は『漁樵の間』です。意味は漁師と樵(きこり)の部屋ということで、対比の妙というかな、そんな感じ。 ここは「千と千尋の神隠し」の湯婆婆の部屋のモデルになったとのことですが、なるほど派手でした。 よくぞまぁここまで…、と呆然としてしまうほどの派手さ、豪華さ。部屋は一面の金箔張りですから。 天井も金ですよ。金地に描かれているのも極彩色の人物画です。豪華絵巻物という感じ。 それだけでもすごいのに、中央には人物が浮き彫りにされている太い柱が二本。これもまた極彩色。 原色が思いっきり使われていて、すごいです。 この部屋で食事なんかしたら、まさに竜宮城の浦島太郎気分でしょう。 とにかく浮世離れした、一種独特な空間でした。
次は『草丘の間』です。こちらは天井と壁の日本画が 磯部草丘の作。 だから『草丘の間』。分かりやすいです。 この部屋は「千と千尋〜」で千尋が寝起きをしていた部屋のモデルになっているそうで、窓枠は確かに見覚えが…。この窓からハクが入ってきたのでしたね。 最後は『清方の間』です。 清方とは…そろそろ分かってきましたね?。 そう、こちらも画家の名前、鏑木清方の部屋です。 天井と壁の一面に飾られた、鏑木清方の日本画が素晴らしいです。上品で優しげな描写の美人画がズラーッと並んでいるのは壮観でした。
見学を済ませて、今度は近年建てられた新館へ。 こちらもやっぱり豪華ではありますが、 どちらかというと悪趣味というか…成金趣味というか…。キラキラしてます。 でもベースはあくまでも和テイストなので外国の人は喜びそう。 まるでテーマパークみたいでした。 こちらの1階の奥の方にあったトイレがすごいんです! 旧館のトイレを再現してあり、中に入ると川が流れていて、橋が架かっていて、朱塗りでドアに黒漆&螺鈿の縁取りで、天井には美人画で…。 とにかくすごかったです。これだけでも一見の価値はあるかも。 この後、目録を買って写真を見てみたら、旧雅叙園はもっとずっと広くて、 私たちが見学したのと同じような部屋がたくさんあったようです。 最盛期にはなんと部屋数200室以上だとか。 この旧雅叙園の天井や壁の日本画が、山水・風景などではなく、花々や美人画が主なのは、 庶民的に親しみやすくする目的だったとか。 結婚式場発祥の地でもありますし、ぜいたくではありますが、一般の人も手が届くレベルだったんですね。 記念日とかお祝いの日にここで食事をしよう、なんて感じだったのかも。 そちらに飾られていた美術品や工芸品などは、現在、新しく建て直された新館に宴会場などとして、再現して移築されているらしく、それも見てみたかったなぁ、と思いました。 そんなこんなで、いろいろ圧倒されながら、目黒雅叙園を後にしました。 そして、まだちょっと時間があったので、帰り道の途中にある『等々力渓谷』に足を伸ばしてみることに。 でも、本当に都会のど真ん中だし、地図で見てもそんなに大きくないし、 渓谷といったって大したことないんだろうな、と散歩気分で気楽に寄ってみたのだけど。
…すごかったです。 どうやら私たちは裏から入ってしまったようでしたが、ものすごく長い階段をひたすら下りて行くと、 まさに渓谷と呼ぶにふさわしい景色が広がっていました。 頭上には環状8号線が通っているのに、ここだけ木が森のようにうっそうと繁っていて、 もちろん川も流れていて、都会の真ん中にこんなに自然が残っているのが驚きでした。 環状8号線の10m位?下に谷沢川が流れていて、川の両側斜面がうっそうとした森になっています。 斜面の上はもう住宅街です。ですから非常に細長い緑地帯になっています。 しばらく歩くと、「稲荷堂」と「不動の滝」がありました。 「滝」といっても、こちらは小規模。周囲が雄大な景色なだけに、ちょっと寂しいかも。 チョロチョロと壁から水が流れ落ちているだけです。 でもこの音が渓谷に響くことから、この辺りの地名が「とどろき」と命名されたらしいです。 ホントかな。
不動の滝から階段を上っていくと「等々力不動尊」があります。 ツツジがちょうど見頃で、とてもきれいでした。 庭園美術館ではあまりツツジが見られなかったので良かったです。ここはそれほど広くないので、 そんなに見るものもないかな。やっぱり渓谷の自然の美しさには敵いません。
他にも「横穴式古墳」などもあるらしく、本格的に遊びに来ても良さそうな広さがあります。 私たちは夕方に寄っただけですが、散歩をしている人たちとずいぶんすれ違いました。 都会のオアシス的存在なのでしょう。犬の散歩にもちょうど良いです。